第2章
マーケティング調査

医院を開院するにあたって、資金調達、立地、人口、競合調査など様々な調査や努力が必要

しかし実際には、内覧会時に再度エリアを見直し調査をすることは少ない。
本来のビジネスであれば、エリア特性に合わせて商品陳列を調整したり広告手法を変更するのがセオリーだ。例えば大手のショッピングモール開業の際には、地域の家庭にあるトイレの便座がO型かU型かまで調査すると言われている。
これらの調査に基づき心理学者を含めたマーケッターが地域嗜好を予想するのである。しかしここは先生の治療方針やキャラクターに基づいて考えても良い。大企業と小規模事業の地域マーケティングやブランディングは大きく戦略が異なるからである。これらランチェスター戦略等については、様々な書籍が出版されているので参考にしていただきたい。

歯科・医科のエリアマーケティング戦略

医院の方針に適したマーケティング戦略が必要

さて、内覧会の開催にあたりもう一度エリア特性を調査することは非常に有益なので再調査を強くお薦めする。人口調査、年齢分布からの予測、生活エリアの商業施設、生活動線、そこから予想される生活嗜好など、地域目線の内覧会を開催するために、エリア特性を把握しておこう。

人口調査と推移、年齢分布や出生率から予測を立てる

現在の人口や今後の推移予想、市の転入目標や方針によってエリアの人口のおおまかな予想を立てるのがいいだろう。高齢者が増えるエリアと高齢者が残るエリアでは細かいが予想の仕方は異なる。若い世代が出て行く過疎地だが持ち家率の高いエリアの場合は、やがて戻ってきてその地で子育てをする人が多いこともある。そこで骨を埋める覚悟で生活をする人が多く、家族一人が好んで医院に通ってくれた場合は家族全員に浸透する可能性が高いと言える。現在の人口だけでは見えてこないが、複数の情報によって予想することが十分可能である。
 

立地条件からの予想と観察によって見える情報

立地によって調査するべきことが、生活動向と生活動線だ。ある程度は開業地を決定する際に調査はしているはずだが、内覧会のために再度調査が必要だ。
人が通らない場所で、大声で開院を叫んでも効果はゼロである。そんな悲惨な状況を回避するために生活エリアの商業施設やスーパー、主要な交通手段、交通量の多い時間帯を調査し地域の方々がどのように生活をしているかを予測・観察する必要がある。またこの調査によって生活動向を読み取れ、地域の方々にとっての利便性が理解できるので内覧会来場者や患者との会話も有利になる。

地域独自の慣習や特性を把握

最後に地域独自の慣習も調査しておいたほうが良いだろう。恥ずかしい話だが、以前に郊外の田舎で介護施設の内覧会を開催した際に見落としたことがある。それは春過ぎの気候も大変良い5月のとある日で、まさにイベント日和。当然私たちはゴールデンウィークという連休付近のイベント情報や動向を調査し、車で出かけるであろう年齢層も考慮した上で内覧会日程を調整した。天候は運次第だが、梅雨の情報も警戒しながら計画したその日はまさかの「田植え日」だったのだ。田んぼが多いエリアの住人にとって田植えのタイミングは生命線、家族総出で行うのである。
まさにイベント日和ではなく田植え日和だ。
 それに気づいたのは夕方来られた高齢者とその家族が教えてくれたからで、急遽時間を延長し対応した。介護施設の内覧会ではケアプラン事業所の関係者なども招くので、集客に損害は少なかったが、午前中からではなく午後から内覧会を開始することで、スタッフの疲労は軽減できただろう。油断は禁物である。

 
内覧会開催日の地域独自(立地による)の行事

地域独自の行事や慣習も把握する

さて、このエリア調査をもとに内覧会の告知をどの規模で行うか、どこで・誰に・どのように行うかを決定するのだ。マーケティング調査による予想は経験値にも依存するが、再調査するということは今後の医院方針や内覧会にも影響を与える。ほとんどの開業時に、忙しさに気をとられて重要なデータを見落としている場合があるので、煩わしい作業だがここでエリア特性を理解しておくと良いだろう。

目次リンク

 

第1章
歯科内覧会を本質から理解する

第3章
伝えるべきコトを厳選し順序立てる
第4章
コンテンツアイデアの泉

第5章
告知広告作成の秘密と投下エリアの選定_1
第5章
告知広告作成の秘密と投下エリアの選定_2
第6章
自院スタッフの内覧会接遇研修とオペレーション
第7章
当日運営の掟と不測事態の対応
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